水のゆくえ-高機能(排水性)舗装の問題点

1.はじめに
高機能舗装はそのポーラスな構造に特徴が有ります。この構造により舗装体内に水を吸収することにより、水はね、スモーキングを防ぎ、交通の安全性・走行性を高めるため、高速道路では標準の舗装となりました。しかし、広く採用されるにともなって色々と問題点が生じてきました。広く採用されるとどうしても理想的な条件で施工が行われるという訳には行かなくなります。そして、基層やアスファルト安定処理路盤層の小さなひび割れを残したまま施工したり、ひび割れは直してもその下の支持力は回復せずに施工するといった状態になっていると思われます。その結果、短期間の内に、基層とアスファルト安定処理路盤層を貫くひび割れが生じ、ゴム入りタックコートの防水層としての機能が失われた状態になってしまいます。このような高機能(排水性)舗装の基層及びアスファルト安定処理路盤層にひび割れの生じている状態は、多くの人が想像しているよりも多量の水が下の粒状路盤や路床まで入り易い構造であることを指摘し、確認の調査を行い、対策をとられることを提案したいと思います。
2.高機能舗装による路盤路床への水の注入作用
高機能舗装の空隙に水が入った状態の上にタイヤが載ると、タイヤの下の舗装は荷重により圧縮されます。それに伴い、空隙に入った水の圧力は高くなります。タイヤが通り過ぎると舗装の変形は元に戻り、空隙に入った水の圧力も低くなります。基層及びアスファルト安定処理路盤層(以下As下層という)を貫くひび割れがあると、タイヤが載り高圧になった空隙内の水の逃げ道となり、As下層の下へ水は流れ出します。タイヤが通り過ぎるて空隙内の水の圧力が下がると、水は流れ込み易い舗装表面や周囲から流れ込みます。このようにして、高機能(排水性)舗装は、表層内の水をAs下層のひび割れを通して、粒状路盤層や路床へ水を注入する作用があると考えられます。As下層を貫くひび割れが広がるにつれて、水はひび割れの隙間を流れ易くなります。タイヤの荷重による舗装の撓みによりAs下層のひび割れが開き、より水が流れ込み易くなります。また、As下層を水が流れる時、As下層中のアスファルト分を巻き込んでいくために、As下層のアスファルト分が減り、水はより通り易くなります。As下層の強度も弱くなります。
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従来の舗装では、タイヤの通過に対して水は舗装表面を自由に逃げることができましたから、ひび割れ幅の小さい場合は粒状路盤への水の浸入は少なくてすみました。また、水もわだち掘れにでもなっていなければ、雨が止んだら道路表面からすぐに無くなってしまい、舗装内に入ることはありませんでした。
次に、路盤内に入った水の挙動について考えてみたいと思います。粒状路盤内に入った水は、路盤材の支持力を低くします。浸入水が多くなるとひび割れ近くの細粒分と混ざり泥水となります。透水性の悪い路盤材の場合はここで滞水しポンピング現象をおこします。透水性の良い材料の場合は、すぐに路床まで浸透します。通常、路床材は粘性土を多く含み透水性が悪いので、路床上面で滞水が起こります。路床上面に滞水した水は、路床に浸透しその支持力を下げます。また、路床上面に滞水した水は、通過する車両の振動により、路床上面の粘土分と混ざり合い不透水面を低くします。さらに、泥水となった水は路肩へ流れ、路肩の路盤材の目詰まりをおこさせて、車線からの排水を妨げるようになります。
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3.高機能舗装による水の集中
高機能舗装に降った雨は、舗装内部に入り、勾配にしたがって流れていきます。一旦表層内に入った水は、舗装表面から蒸発する分を除いては路肩からしか流れ出るところがありません。路肩では、サーフェスダウンになっている個所を除いては、表層の厚さ分の高さを乗り越えなければ流れ出ることが出来ません。路肩に側溝があるところでも側溝まで高機能舗装になっているところは少ないです。集水ますと接する面積は小さく集水ますから流れ出る水の量は限られています。そのため縦断勾配のある所の橋梁のジョイントが雨が止んだ後も2,3日高機能舗装内を流れてきた水で濡れているのをみかけます。

このように、坂道の下流側や車線の多いところは、集水面積が大きく、高機能舗装の中を通って多くの量の水が長い時間集まってきます。水の集まる個所のAs下層にひび割れが発生した場合は、粒状路盤への水の浸入量は多くなり支持力低下を原因とする損傷が発生します。
縦断勾配の大きいところでは、ひび割れからの水浸入による損傷の発生は少ないように感じます。縦断勾配により滞水が生ぜず、路床、路盤の軟弱化が生じないためと推測されます。ただし、切盛り境のひび割れが発生している個所では、すべり面に生じた凹みに水が滞水し軟弱化を引き起こし、さらに、地すべりを引き起こす恐れがあります。
高機能(排水性)舗装内の切盛り境のひび割れと予想される個所の何箇所かは、ひび割れの発生幅が広く滞水による軟弱化が広がっている可能性が考えられます。
また、ランプから本線への水の流入が生じるところがあります。殊に、本線より高いところにあるサービスエリア等では、わだち掘れ等により排水機能が十分でなかった場合は、SA内から集まった多量の水が本線へ流れ込むことになります。
さらに、ひび割れがわだち掘れ箇所に存在する場合も水の大量浸入の恐れがあります。従来の舗装ではわだち掘れ部分に集まった水はタイヤにより飛沫となって飛ばされてしまいました。しかし、高機能(排水性)舗装では水は、飛沫として飛ばされることも無く、舗装内を通って低いわだち部分に集まり、ひび割れからAs下層に浸入していきます。
4.調査
以上に述べましたように高機能舗装のAs下層のひび割れ箇所から水が浸入して損傷発生の原因となっていること予想されますのでこれを確認する必要があります。開削により坂道に切盛り境ひび割れの発生前後においてAs下層より下の路盤層・路床の含水量を調査、平坦部ポンピング・凹み発生個所において路盤層・路床の含水量を調査、車線から路肩において不透水層の勾配がとれているか調査する必要があると思われます。
5.応急対策
損傷進展の原因となる路盤への水の浸入を防ぐ必要があります。ひび割れから水が入らないようにするシールをすることが考えられます。しかし従来の舗装表面でのシールでは表層の下部を流れて来た水に対してひび割れへの浸入を防ぐ効果はありません。そのため、ポーラスな表層を浸透し、基層表面であるいは基層のひび割れに浸透してシールをおこなうシール材が必要となります。応急対策としては手がかかり過ぎかもしれませんが、ひび割れ面積の少ない場合は、基層のひび割れをシールし、表層を密粒度合材で打換える方法が考えられます。
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ひび割れのシールが容易に出来ない場合は、水がひび割れまで流れていかないようにする方法も有効とおもわれます。ひび割れの上流側に溝の設置、または、排水性舗装の空隙を埋めて障壁を作る方法により、路肩へ排水する手段が考えられます。従来の舗装で行われてきたカッターによる横断溝の設置では、溝部分で支持力低下によるひび割れの発生や溝からの骨材の飛散が激しく、不適当と思われます。橋梁のジョイント前後のようにセメントミルクで排水性舗装の空隙を埋める方法も考えられますが、舗設直後でなければ上手く目が詰らないと聞きます。
いずれにせよ、排水性舗装内によく浸透するシール材が望まれます。また、排水性舗装内を長時間にわたって水が流れることは、水浸マーシャル試験の結果から判るように、アスファルトにとって良くないことは明らかですので、短時間に排水されるよう手段を講じる必要があります。これにより、集水域が広いためサグ付近やカーブの内側で降水量の少ないのに集まった水により水しぶきがあがるのを防ぐことができます。
また、車線部分での含水量が高く、路肩での目詰まりが発生していた場合は、路肩規制での排水改良工事で改善されるかもしれません。
5.終わりに
以上高機能舗装の損傷に対する水の影響が大きいことの可能性について述べました。そして、その損傷箇所は最終的には路床上部です。路床上部の補修は、時間も費用もかかりますので、至急調査確認し対策を進めることを、提案します。

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